「連れションしない派」の助産師が、大人の心理検査を受けて腑に落ちたこと

助産師になって18年目、助産院を開業して11年目を迎えました。

これまで日々たくさんの親子と向き合う中で、お子さんの発達の凸凹や「育てにくさ」、そしてお母さん自身の生きづらさに悩む声に触れる機会が本当に増えてきました。

私自身も、わが子の特性と向き合いながら今日までやってきた一人の母です。

子どものことを見つめるうちに、「……ちょっと待てよ、そもそも育てている私たち親の脳の配線はどうなっているんだ?」という疑問がうまれ、支援者としての学びも兼ねつつ、夫婦で大人向けの心理検査を受けてみることにしたのです。

心理検査について

心理検査には世界共通の厳格な機密保持ルールがあるため、出題内容や具体的なテスト内容には触れず、受検後のフィードバックから得た気づきをお伝えします。

目次

「雑学好きなのに…」私の偏りすぎたシングルフォーカス脳

検査後の振り返りで、とても腑に落ちた(そしてちょっと悔しかった)フィードバックがありました。

それは、「興味のない分野の情報は最初から脳に入ってこない、強いシングルフォーカス型ですね」という分析です。

得意な分野の数値はしっかり取れていたものの、世間一般的な雑学や教科書的な知識のテストで見事に足を引っ張られ、全体のスコアをごっそり削られていたのです。

「えっ、私、雑学めっちゃ好きなのに!」と心の中で叫びました。

振り返ってみると、心当たりはいくらでもありました。

そもそも母になる前の私は、朝ごはんを食べながら普通にテレビのニュースを見て、世の中の出来事や時事ネタをごく自然に吸収していました。最初から社会のニュースに興味がなかったわけではないのです。

それがガラリと変わったのは、子どもが生まれてから。

わが子はテレビがついていると画面だけに集中してしまい、ご飯もまったく進まない、出かける準備も一切手につかない状態になってしまう子でした。「これでは生活が回らない!」と、我が家はテレビを消しました。

育児と仕事に追われる毎日。「ニュースを見るくらいなら1分でも多く眠りたい」というのが切実な本音でした。

世間の話題に触れる機会といえば、移動中や授乳の合間にスマホでちらっと流し見するLINEニュースくらい。

……え?「本当にそんなに時間も余力もなかったのか」ですって?

正直に白状します。疲れてヘトヘトなはずなのに、好きなことなら隙間時間で熱心にできてました。心の充電って大事ですよね。

キャパオーバーを防ぐために余計な情報を遮断していた5年間と、好きなことだけにエンジンがかかる生来のシングルフォーカス。

そのふたつが重なっていたんだと、すとんと腑に落ちました。

そもそも振り返ってみれば、助産師になってからの18年間、私の行動パターンはずっと一貫していました。

「母乳育児支援の専門家になりたい」と決めたときは、病院を退職して学生に戻り、桶谷式乳房管理士の資格を取得。その後も学会や研修にコツコツ通って単位を積み上げ、国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)を取得するまで……興味を持った専門知識を深掘りしていく時間は、楽しくて仕方がありませんでした。

広く浅く知ることにはメモリを使わず、興味の対象にだけ全リソースを注ぎ込む。

母になってからの7年間の暮らしも、助産師として歩んできた18年間の軌跡も18年間の軌跡も、すべて私のこのシングルフォーカスな脳の配線によるものだったのだと、長年の答え合わせができました。

男性的で、合理的。昔から変わらない私の処世術

先生から「男性的で合理的な思考パターン」の例えとして、

「たとえば女子特有の『連れション』とか……」

という話題が出た瞬間、思わず「嫌でした。してないです」と即答してしまいました。

もちろん、自分にも用があるときは「同志」として楽しく一緒に行きます。でも、用もないのについていって、トイレの前で手持ち無沙汰に待つ時間はどうしても謎で……。「あそこは目的地であって、待機場所ではないよね?」と思ってしまうのです。

誘われても「今大丈夫ーありがとう!」と素直に伝えて、あとはマイペース。

子どもの頃からの行動パターンが、すべて一本の線でつながった気がしました。

「数学脳」の夫と、「瞬発力」の私

今回、数学教師である夫も一緒に検査を受けました。

そして、以前受けた子どもの結果も合わせて見てもらったのですが、私たち夫婦、見事なまでに真逆のタイプだったのです。

夫は、図形や空間の把握、筋道を頭の中で組み立てて考える力が得意。

一方で私は、シングルタスクに絞ったときの処理スピードが物凄く速い。

ただその反面、「ルールが途中で切り替わったり、複数の条件を同時に気にするような作業」になった途端、普通の人が2倍くらい時間を使うところを、私は5倍くらいかかっていると言われました。

ひとつのことに集中して走ると驚くほど速いのに、条件を切り替えた瞬間に急ブレーキがかかる。得意なことと苦手なことの落差が、人よりずっと極端だったのです。

言葉のベースが一致しているため普通に会話は成り立ちますが、夫婦で「得意な処理のルート」が根本から違っていました。

私が嵐のように文句を言ってしまう日があっても、持ち前の抜群の自己肯定感でサラリと受け流し、いつも穏やかでいてくれる夫。

そして、夫がどうしても覚えていられないこまごました日常の段取りは、私が担う。

日常のあれこれを「なんで?」と責め合うのではなく、「そもそも得意な処理が違うんだ」と捉え直せたことで、すっと肩の荷が下りました。

これからも長く付き合っていくパートナーだからこそ、お互いの特性を知って、「違って当たり前なんだ」と面白がれるようになったのは、夫婦として本当に良いきっかけになりました。

答え合わせができた先に見えたもの

自分の凸凹を知って一番スッキリしたのは、「なんだ、だから私はこうだったのか」と長年の疑問が解けたことでした。

興味のないことに頭が働かなくても、雑学のテストで点数が取れなくても、自分が全力を注げる助産師という仕事に出会えた。そして、自分が持っていない視点は、隣の夫が持っている。

無理に「平均」を目指して自分をすり減らすより、これが私の仕様なんだと受け止めて面白がる方が、ずっと心地よく生きられる。そう実感できたことが、今回検査を受けて得た一番の収穫です。

支援者としても、一人の母としても、この違いを面白がる視点をこれからの関わりにしっかり活かしていきたいと思います。

この記事を書いた人

 2回流産、不育症・不妊症治療、切迫早産での入院を経て2児を出産。思い通りにいかない育児の葛藤を身をもって経験してきました。育児にたった一つの正解はありません。お母さん一人ひとりの想いやご家庭の状況に寄り添ったケアを心がけています。
助産院を開業し運営しながら、2人の子どもをともに0歳児クラスから保育園へ預けて授乳を継続。我が家は入園後の授乳期間のほうが長く、長女は2歳11か月、次女は3歳3ヶ月で卒乳を迎えました。
乳歯が20本生え揃ってからの授乳も経験し、「無理なく楽に続けられる授乳」や「歯が生えてもお互いに負担の少ない授乳の工夫」を一人の母親としても大切にしてきました。おっぱいトラブルはもちろん、お仕事復帰や保育園との両立、離乳食のお悩み、卒乳まで、どんなことでもお気軽にご相談ください。

助産師・看護師 / 桶谷式乳房管理士 / IBCLC(国際認定ラクテーション・コンサルタント)

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